トップ > まつたにの想い

まつたにの想い

〜 受け継ぐ想い 育てる想い 伝える決意 〜

まつたにの伝統であります、お客様に喜んでいただける位牌をつくる技術、
人材、そして何よりも心をさらに磨き、伝えてゆきます。
わたしたち一人一人は決して名工とは言えませんが、
「みんなで作り上げたものは、名工の仕事に勝るとも劣らない」との想いで、
チームの力を結集してやり遂げて参ります。
今までもそしてこれからも…

~ プロも唸(うな)る存在感と美しさ ~

鏡のような光沢を放つ蝋色(ロイロ)仕上げに匹敵する高品質な通常仕上げ

位牌の塗り加工技術に「蝋色(呂色)(ロイロ)仕上げ」があります。この仕上げを施した位牌は、蠟で磨いたような光沢があることからこの名があります。安っぽくテカテカに光るのではなく、厳かないわば硬質な光沢です。位牌の札板にロイロ漆を薄めに塗り、次に炭で塗面を研ぎ,さらにロイロ炭で平面を胴摺り、その後擦り漆磨きと、⿅の角粉磨きを交互に繰り替えし、艶を出します。同時に塗りムラ、細かいホコリを取り除き平滑にします。鏡面のように平らで、豊かな光沢のある最高峰の塗り仕上げです。
まつたに位牌は、この「ロイロ仕上げ製品ですか?」と仏具店の方から尋ねられることが、よくあります。それもそのはず! 弊社は、質感を重視しています。伝統型位牌は昔から各社競作になっているものが多く、同じ名前の位牌が何種類も作られています。もちろんメーカーによって形、彫刻、塗り、金箔金粉、ディテールがすべて違いますが、見慣れていない一般消費者の方には、ただちにその違いがわかりません。プロの業者さんでもわかりにくいものです。

違いがわかる位牌を作る

それをだれが見ても「違いがわかる位牌を作ろう!」と決意したのが1990年代中頃です。きっかけはある得意先仏具店の社⻑から、「お宅の位牌と他社製の位牌が違うのは、わかるが、お客様に説明しにくい。もっと誰がみてもなるほどと違いがわかるものを作りなさい。」と言われたのがきっかけです。
それまでは、「うちの位牌は、国産自社一貫生産品の手作りで、伝統的工法で作り、札は国産桧、金純度の高い高級金沢製本金箔、本金粉を使っています。」と説明してお奨めしていました。それに対して「スペックはわかった。だが、それが瞬時に感じ取れないと意味がない。他社製品と各段に違うというものでなければ、高級品といえないよ。」ということを突き付けられたのです。
頭を打たれた思いでした。帰社して早速「誰が見ても良い位牌とわかっていただけるものを作ろう! やっぱりまつたに位牌はいいね。と言っていただけるものを作ろう!」と決意し、全製造現場の作り方改⾰を始めたのです。

職人との対立

もちろん弊社の社員とはいえ、工芸品の職人ですから、今までのやり方を容易には、変えようとしませんでした。木地(木で作る原形)はこの彫刻で通ってきている。「蓮華の花びらの形が悪いなどと言われたことはない。返品もされない。何でそんな細かいところまでこだわる必要があるのか? それでは手間がかかり過ぎて仕事にならない。」と反発されました。同業他社は過去、プラスチック成型した彫刻を使ったところもありました。
(弊社も半世紀前頃は一時使用したこともありました。それではだめだと気付き、その後オール木製にもどし、原点に回帰しました。)
また、焼判という工法で彫刻を表現する手法を使うところもあります。木製の部材の表面を熱した焼きこてを押し当てて、彫刻したような形を焼き出すのです。
あるいは、他業種の商品と同じく中国を中心とするアジア諸国に生産拠点を移して位牌完成品を作るところもあります。
弊社は自社の職人による内製体制でやり続ける道を選びました。価格競争ではなく、品質競争で勝負していこうという戦略です。なによりも「手を合わす対象であるお位牌は、⽇本人の手で⽇本で作りたい!」「まつたに位牌は良い! きれいだ! 高級品だ。お客様に自信をもってお奨めできる!」と言われるものを作ろうと決めたのです。それはいばらの道でした。先ほどの木地の例だけでなく、塗り、研磨、金箔金粉、蒔絵、拭き上げ、組み立て、包装にいたるまで各職場から「なんで、そこまでやるのですか? やり直しばかりではかどりません。いやになりますよ。」という不満の嵐でした。

新生まつたにの産声

そんな時私たち経営陣が諭したのは、みんなにとっては何万基作るうちの1基かもしれない。だけど、お客様にとっては唯一の1基なんだ。「この1基の位牌を自分の⾝内の位牌にできますか? この彫刻で、この塗りで、この研磨で、この箔押しで? 小さなゴミ粒が付いた位牌でいいですか? 金粉がラインからはみ出た位牌でいいですか? 傾いたり台座の組み方がゆるい位牌でいいですか? 高級感のない包装でいいですか?」と突き付けたのです。
「どの1基も自分の⾝内の位牌にできるものを作ろう!」と言い続けて意識改⾰をしていったのです。それから数年後、くだんの得意先社⻑が「他社製品と区別がつくものができたな。」と言っていただきました。

信頼されるブランドへ

「⽇本一検品が厳しい。」と自ら豪語され、納品すれば必ず何基かは、返品が発生していた得意先が、何十年と返品ゼロを続けていただいています。「まつたに位牌は、安心して奨められる。」と言っていただける先様が増えました。「まつたに位牌は、ブランドだから。」と言っていただくお店もあります。
現在も各職場から次の工程に進むごとに厳密なチェック体制を敷いて、不良品は仕掛半製品状態で除外しています。良品だけが完成品となり、最後の拭き上げ、包装の段階で最終確認をして出荷しています。⽂字⼊れまで弊社で作業して、小売店へ送るケースが近年増えました。つまり小売店は届いた位牌をそのまま即お客様に納品するのです。不良があれば、満中陰(49⽇忌)の法要に間に合いません。
そんな責任ある仕事ですから、厳重点検は欠かせません。お祀りされるお客様の⾝になって一基一基を大切にお作りする意識と緊張感を育て、それが作り手のプライドとなり、伝統となるように精進しています。

まつたに位牌の製造工程へ >

まつたに位牌づくりをぜひご覧ください。
(ページ内には動画もご用意しています)