トップお位牌の金部分は決して拭きあげないでください!

お位牌の金部分は決して拭きあげないでください!

お位牌の金部分は繊細なので、そっと丁寧なお手入れを心掛けましょう!

お位牌のお手入れをしようとして、金箔や金粉の加飾ヵ所を拭き上げて、金をはがしてしまうという失敗が後をたちません。塗りのお位牌は、基本的に金箔や金粉で加飾します。金線を入れたり、部品のいくつかを金にする。または、全部を金にする。(総金、総紛)という加飾法もあります。
いずれにせよ、それによって黒と金とのコントラストをつけてデザインするわけです。
この金の部分は、金色ではありません。「金色ではない。」ということは、金色の塗料ではないということです。金メッキでもありません。金色ではなく本金、純金を薄く延ばした金箔や、金箔をすりつぶして粉状にした金粉です。いずれも厚さは、極めて薄いものです。
これを強く拭きあげたり、こすったりすると剥がれます。剥がれた後には、黒い(タメ色や紺色など色もの位牌は、その色の塗り肌)塗色が顔を出します。
金色塗料をペイントしたものであれば、簡単には剥がれないでしょう。

伝統工芸品とりわけ塗仏壇、仏具、仏像、位牌というものは、昔から金箔、金粉で加飾仕上げされています。お寺でお祀りされている国宝、重要文化財クラスの仏様は、金箔が剥がれたりしているお姿をされています。それらは時代を感じさせる重厚な雰囲気を醸し出します。きんきんきらきら輝く新品のお姿よりありがたく見えます。

しかしながらご家庭のお位牌がそのように金箔や金粉が剥がれると、きれいではありません。「修理してください。」と仏具店に持ち込まれます。それらがわれわれメーカーに送られてきます。中途半端に金が剥がれた気の毒なお姿のお位牌が毎日のように全国各地から持ち込まれます。この修理は手間と費用がかかります。文字を彫り込まれているので、新品の金加飾工程より手間がかかります、書き文字をされている場合ですと、文字の下の金箔や金粉を押し換え、蒔き替えするには、書き文字が消えてしまいます。(総金、総紛位牌の場合) 金加飾後、書き直しすることとなります。

塗料、ペイントした日用品たとえばスマートフォンなども少々拭いても、こすっても色はとれません。経年すると角のあたりから色落ちして素材の地の色が出てきたりします。仏壇も塗りの金仏壇には近年金色塗料というものが塗られた品物が出ています。「金色塗料仕上げ」と明示されているのが普通のありようです。金箔や金粉で仕上げたものよりは当然安価です。

近年お位牌にも金色塗料を吹き付け塗装して仕上げたものが出まわっております。面粉位牌の姿をしています。見た目では、本金粉仕上げとの区別はつきずらいです。(金色塗料仕上げとは、明示されていません……。)

本金箔や本金粉を使ったお位牌の金部分はデリケートなので、決して強く拭かないでください。こすらないでください。素手で触らないでください。

そっと汚れをぬぐう程度のお手入れにしていただいていますと、何十年たっても金は剥がれません。古びた感じになってはいきますが、そこは時代を感じさせる仏様と同じで厳かなありがたみがでてまいります。

位牌の知恵ブログ「塗りのお位牌の手入れは、どうしたらいいの? Part1Part2

をご覧ください。

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