奈良春日大社に保存されている国宝「赤糸威大鎧(梅鶯飾)」と通ずるものが!
「まつたに位牌には、国宝級のデザインが施されています。」とは言えないまでも国宝に取り入られているのと同じデザインがあります。
先般1月22日(水)に NHK デジタル放送 歴史探偵 サムライたちの甲冑(かっちゅう)で紹介された平安時代に登場した「大鎧」にまつわるエピソードです。
奈良春日大社に保存されている国宝「赤糸威大鎧(梅鶯飾)」を3DCG復元して詳しく調べた結果、兜(かぶと)の頭頂部付近に梅の花の装飾がなされていて、金属製で細緻なものであるとのこと。すなわち梅の花びらが、「完全に開花したものだけでなく、咲きかけのものもあり、つぼみもある。」という具合に精工に意匠を凝らしていることに驚かされる。という場面がありました。
弊社まつたに位牌には、代表的な位牌の台座の下から2番目の部品(下條といいます。)に「梅透かし」という梅の花と幹、枝ぶりを表現した彫刻がございます。ここには、3枚の花びらが描かれており、内2枚は完全に開花した花びら、あとの1枚(向かって左端)のものは、つぼみとなっています。
これは、まさにさきほどの「大鎧の兜」の意匠に通ずるものがあります!
弊社のルーツである高野位牌は、300年以上の伝統があると言われております。(定かではありませんが。) もちろん1000年以上前の平安時代には存在しなかったでしょう。ですが、「大鎧の兜」に取り入れられた仔細なそして精緻な意匠がいつかどこかの時代に高野位牌に伝わったのか、弊社の先人たちが、同じ発想をしたのか? は定かではありませんが、いたく感動いたしました。なぜなら、他社の位牌の「梅透かし」の彫りは、大抵花びらが3枚ともすべて開花したものになっているからです。弊社先人様に感謝です。
ちなみにこの「1つがつぼみ」というのが、「まつたに位牌」と「他社製位牌」を区別する目印となっておりますが、近年これを真似したと思われる「模倣品」が出ております。そこでさらにわかりやすい目印として「〇にマ」を描いた、ブルーのロゴマークを下台(1番下の台座)の背中側の左下に付けております。これで一目瞭然です。ただしこれがついていない場合もあります。(販売店様のご都合などによります。)
いずれにせよ、「まつたに位牌」を店頭でお求めの節は、よくお尋ねになられて確認されることをお奨めいたします。
※「梅透かし彫刻」がついている「まつたに位牌」は、京千倉、極上京千倉、京千倉木瓜末座、新千倉、七重座、五重座、出高欄、丸高欄、柱高欄、柱五重座、虹、京千倉回出といったものです。
※蛇足ですが、高野位牌「まつたに」のルーツは、「高野石積みの里」と呼ばれる「和歌山県伊都郡高野町杖ケ薮」という高野山中の深い山里です。そう、ポツンと1軒家に登場するような場所です。先々代の時代までこの山中で、家内工業的に位牌の製造をしていました。半農、半位牌製造のくらしでした。あまりにも人里離れたくらし故に、「平家の落人の隠れ里」の伝説があります。確たる証拠はありません。ただ「へこなし音頭」という歌が伝わっております。「へこなし」とは「平子なし」、「平家の子はいない。」という意味で追手が来たら歌うものであるとのこと。
いみじくも、平家のサムライたちが着用した「大鎧」の意匠が、その末裔といわれる人々によって、位牌のデザインに取り入れられているわけです。
「戦いの装束から、祈りの対象物へ」
先人たちの「想い」は、想像するべくもありません。