トップまつたに位牌職人シリーズ part1(木地彫刻) 「父もまつたにの木地師でした。そして私もこの道へ」

まつたに位牌職人シリーズ part1(木地彫刻) 「父もまつたにの木地師でした。そして私もこの道へ」

時代と逆行のモノづくり。一刀一刀に気持ちを込める。

今回より㈱まつたにの職人を紹介していきます。まず第一弾は木地師のIさんです。

Iさんのこれまでの経歴を教えてください。

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「職歴は19年目で、58歳です。大学卒業後は呉服屋に入社しました。その後、金融関係の会社を経験し、まつたにには40歳の時に入社しました。父がまつたにで木地彫刻に携わっており、日頃から彫刻している場面をよく目にしていました。実は彫刻には元々興味があり、別の会社在籍中、時間があるときには父から彫刻を教わっていました。その時に透かし彫りなど結構レベルの高いものまで彫刻できるようになっていました。そのため、まつたにに入社した時には自然に仕事に慣れることができました。父は本当に彫刻が好きで、母がスーパーへ買い物に行っている間の車内でまで、位牌の彫刻をしているくらいでした。」

「入社してからは本当に色々なことを経験しました。別注位牌も多数制作し、その時に木取成型の方法も学びました。木地師の仕事はまず木材を選ぶことから始まります。この位牌にはどの木材が適しているのか、木材が決まればその木材のどの部分を位牌のどの部分に充てるかなどを考えます。」

現在の仕事場の様子はいかがですか?

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「現在は、各々の木地師がその月の目標を決めます。自分がどのレベルに達したいか、そのために何をするのかを明確にします。それにより、日々の朝礼の直後からすぐに緊張感を持って仕事に入ることができ、意識の向上に繋がっていると思います。昔は、良くも悪くもいわゆる職人の集団でした。自分の技術を高めることに本当に注力していました。でも今の時代ではそれだけではだめですね。お互いが教えあい、お互いを高めあい、各自のレベルを上げていかなければなりません。私は40歳から木地師の道に入りましたが、新人の皆さんはたくさんの時間があります。その中で、彫刻技術を高めてほしいです。ほぼ毎日、私は帰宅後の自宅でも練習していました。毎日、彫刻刀を触らないと感覚が鈍ります。毎日することで少しずつレベルが上がってきます。うちには毎週、木地師の顧問が講習にきてくれます。まつたにが杖ヶ藪で高野山に位牌を納めていたころから、顧問は木地師をしていました。その頃の話をよく聞くのですが、本当に驚くことばかりです。我々では1時間ほどかかる彫刻でも、ほんの数十分で仕上げて、今では考えられない量の位牌を作っておられたとのことです。」

位牌制作に携わる思いはどんなものがありますか?

「機械化が叫ばれる昨今、ある程度は機械で可能ですが、細かい彫刻は人の手でしか行うことができません。時代と逆行しているかもしれませんが、人の手でしか作れないものの価値が上がってくるのではないでしょうか。」

そんなIさんが所属する木地職人が手掛ける製品の1例がこちらの匠  極上京千倉吹蓮華截金入です。

 

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