トップまつたに位牌職人シリーズ part 6(金箔押し)「伝統的な位牌づくりに携わる難しさと喜び 」

まつたに位牌職人シリーズ part 6(金箔押し)「伝統的な位牌づくりに携わる難しさと喜び 」

一点一点が完璧でなければ製品として出せない緊張感と日を追うごとに成長を実感できる喜び。それが、まつたにの位牌づくりです。

s_5810『まつたに』に入社した動機は何ですか?

『まつたに』には紹介で入社しました。小さい時、母がミシンをよく使っており、私もなんとなく触ってみたい思いがあり、ミシンでの縫製などに携わっていました。転職を考えた時、やはりモノづくりがしたいということで、地元の位牌メーカーである「まつたに」に入社を決めました。ただ、入社前の工場見学の折に、金箔押しの製造現場を見せてもらったとき、大変細かい作業だったので、私には絶対金箔押しだけはできないという印象を持ちました。金箔押しとは、金を紙のように伸ばしたものを、位牌の表面に漆を接着剤として加飾していく作業です。非常に繊細な作業が要求されます。そんななか、入社後の配属は金箔押しと聞き、とても驚いたのを覚えています。

位牌の金箔押しで難しいところは何ですか?

最初に当たった壁は、漆です。金箔を位牌に接着させるために漆を使用するのですが、その塗る加減がとても繊細で慣れるのに数ヶ月はかかりました。漆が位牌に残りすぎると、仕上がりの色が重い色になり、漆が少なすぎると光りすぎるのです。この丁度いいところを見つけるのにかなりの経験を要します。一通りの工程がこなせるようになれば、次は手仕事とはいえ一点のミスも許されない均一な仕上がりが要求されます。一点一点が完璧でなければ製品として出せないからです。s_5817

『まつたに』の位牌づくりの職場をどう感じていますか?

仕事をしている中で一番嬉しかったことは、一日の完成本数がやっとみんなに追いついた時のことです。周りのメンバーもまるで自分のことのように喜んでくれました。私の周りのメンバーはとても素晴らしい人ばかりです。こういった伝統的なものをつくっていると、よくプライドが高い人達と思われがちです。プライドを持つことも大事だと思いますが、私たちの部署が大事にしていることは、少しでも綺麗で良い品物をお客様に届けることです。そのためには、社歴も年齢も関係ありません。私たちの部署では、社歴が長い人も、年配の方も、技術が高い人達に教わりに行きます。技術が高い人達はそれを自分のものと秘密にするのではなく、教えあっています。このような職場環境は他にはあまりないのではないかと嬉しく思っています。

位牌づくりの職人として、将来への想いを聞かせてください。

最近、日本の古き良き伝統が薄れてきているように思います。もともと私の実家には仏壇も神棚もあり、小さい頃から毎日、両親の傍らで訳も分からずお経をあげていたのを覚えています。最近は仏壇のない家も増えてきているようですが、ご先祖様を想う気持ちはとても大事だとおもいますし、自分の子供にも持ってほしいと思っています。どのような宗派や宗教であれ、人を大切にするという教えは同じだと思います。私が不安を抱えながら『まつたに』に入社した時、いつも実家で唱えていたお諭し(おさとし)が社員の休憩所に掛かっていました。それを見たとき、とても心が安らいだことを、今も鮮明に覚えています。そこには人への感謝や人への思いやりの大切さが記されていました。世界中の人々が、このようなことを大切にすることで、いい世の中が実現すると信じています。まずは、私たちから少しずつ広めていかないといけないのではないかと思っています。

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