紀州高野山麓橋本の地にも梅が開花しました。南紀と違い、寒冷地ですが、いよいよ春のおとずれです。
梅の花といえば、「まつたに位牌」の彫刻デザインに多くみられます。千倉系位牌には、下台(一番下の台)の上にある下條と言う部品のデザインとして彫刻されています。
これに対して五重座系の位牌の同じ部分に彫刻される「五重花―五重座用の梅の花」という花があります。
こちらのほうがよりリアルな形で、おしべとめしべも彫刻されています。ちなみに万葉集の梅の歌は104首あり、桜の38首よりも圧倒的に多く、当時は花といえば梅のことだったようです。「まつたに」の伝統型位牌にも梅の意匠がみられ、桜がモチーフにされるのは近年の銀杏呂門桜蒔絵入りになってからです。お花見といえば桜で、日本人がまず思い浮かべる花ですが、梅のほうが昔からめでられていたようです。