トップ御位牌のお手入れの方法【保存版】

御位牌のお手入れの方法【保存版】

実は何もしないのが一番なんです!!

薬剤や水は使わないでください。もしするなら基本は、乾拭きです。
塗り位牌(黒塗り、タメ塗り、紺、藤など)のお手入れは丁寧にやさしくしてください。漆器には水洗いOKのものもあります。また堅牢な下地で塗り固めたものもあります。塗り位牌はそれとは異なります。位牌は文字を彫り込みます。そのために文字を彫りやすい下地を塗っています。文字を彫った部分は、溝のように深く木地がみえています。ここに水分が入り込むと内側から塗りを傷めてしまいます。
書き文字は、上から薬剤や水拭きをすると文字が擦れて剥がれるおそれがあります。つまりお手入れは、文字の上はけっして拭かないこと。薬剤や水を付けて拭きあげないこと。金箔や金粉(金色部分)は、拭かないこと。素手で触らないこと。彩色や蒔絵部分も拭かないこと、こすらないこと。

柔らかいウェス、クロスの類(薬剤を含まないもの)で軽く拭くのが基本です。何年もお手入れせずに置いていたものでないかぎり、それだけで充分です。下手にこすりすぎると、塗りや金箔部分を傷めるおそれがあります。

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一番多い失敗が、金箔や金粉で加飾された箇所を拭き上げてはがしてしまうことです。塗りの上に金加飾をしています。紙より薄い金箔を貼りつけたり、金粉を蒔きつけています。この部分を一所懸命拭きあげる行為は、金を剥がして箔下(塗り部分)を出す行為なのです。つまり金が剥がれて黒い塗り色が中途半端に顔を出すのです。きれいにしようとしてかえって傷つけていることになります。お位牌を大切にされるご家庭ほど、この間違いを犯します。総金、総粉の高級なお位牌ほど大切に手入れしようとされて失敗されます。販売時に仏具店では、説明をしますし取扱い説明書もついていますが、忘れてしまわれるのでしょう。

メーカーである弊社には、そのようなお位牌が修理依頼で持ち込まれます。そのたびに気の毒に感じております。かえって何も手入れをせずに「ほっとけさま」状態で祀られているお位牌のほうが傷んでいないのです。もちろん何十年もたてば、古びた感じにはなりますが触っていなければ金箔はがれという決定的な破損はありません。また、お仏壇内部をお掃除しようとして中に安置中のご本尊、お位牌、仏具等を取り出します。このときうっかりぶつけたり、落としたりして傷つける場合もあります。唐木位牌でもぶつければ傷つきます。まして塗り位牌は、ぶつけたり落としたりすると塗りが欠け、木地までへこんだりします。「ほっとけさま」もいかがなものか? と思われますがとにかくお位牌、ご本尊、仏具を持つときは、慎重にやさしく取り扱ってください。

強く拭いたらどうなるの??

無題上の写真は、お客様から修理依頼で弊社に届いた位牌です。お客様は大事なお位牌をきれいにしようとして、強く拭いてしまったのでしょう。

位牌は金箔、金粉加飾の前工程では以下のように、真っ黒です。木地に下地を塗り、その上を黒く仕上げ塗りをした状態です。この上から、金箔を張り付け、金粉を蒔くのです。黒塗りの上の薄い金のオーバーコートは、こすらなければとれません。ですがきれいにするつもりで拭きあげると最初の写真のような状態になってしまいます。やはりお位牌は何もしないのが一番です。無題l

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